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#19.5 七夕(本編無関係)

last update Last Updated: 2025-07-07 23:55:55

「庭先に……竹が刺さってる。」

 意味わかんねぇだろうけど僕もよくわかってない。ほんとに意味わかんねぇよ!なんで竹?あ、なんかすごい勢いで降ってきた〜。

「ちょ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!庭の地面がガラス化してるんですが……。嫌なんで?爆心地にあるのが短冊なのがイッチャン意味わからん!」

 七夕を……やれってことですか?神様〜これほんと何考えてらっしゃるんです〜?

「ま、反応があるわけないか。七夕をやれっていう圧を感じない訳でもないけど……僕は今そうめんの口なんだ。すまんね神様。そうめんの口の時に竹あるんだよ?流しそうめん、やるっきゃねぇだろ?」

 よーし、そうめんを作ろう!我が家は金だけはあるのだ!使うっきゃねぇ!金にものを言わせていろんな小麦粉集めて持ってきてもらおう。今思いついたから当然今日中に持ってきてもらう。前世のと同じ強力粉と薄力粉があるといいな。用意でき次第ニギニギタイムだぜ!えーっと暇そうな人暇そうな人……。

「ミシェル?何してるの?」

 あ、母様だ。

「何故か庭に竹が突き刺さっていたので以前文献で見た流しそうめんというのを再現しようかと。」

「甘いわねミシェル。グラボロッソよりも甘いわ!この私が竹があるのに流しそうめんの用意をしていないと思って?」

※グラボロッソ:この世界で一番甘い食べ物。ぶっちゃけ食えたものではない。砂糖漬けにすれば長持ちすることから、食料の長期保存のための試作として量を考えずにドバドバ砂糖を入れたクソ甘な食べ物が誕生した。考案者が意地で食べきったため、一応食べ物とカウントされている。

「なん……ですって!」

 え?この世界に流しそうめんなんて文化あるの?

「普段は竹がなかなか手に入らないからしていないから流しそうめんをしていないけれど手に入ったならするしかないでしょう!」

「た、たしかに!そうめんはどう用意するんです?まだ僕食べたことないですけど……。」

 存在するなら1回や2回くらいは僕の口に入ることくらいだってあるはずなのに僕はまだこの世界でそうめんを見たことも食べたこともない。

「あなたがそうめんを食べたことないのはそうめんが貴族っぽくないからよ!貴族は見栄を張る生き物。故に素麺などと質素なものは普段食べないのよ。しかーし!流しそうめんはアミューズメントパーク!故に特例でおーけー!」

「そ、そんな理由だったなんて!」

 そうめ
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